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眼瞼内反症

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眼瞼内反症とはどんな病気?

退行性眼瞼内反症(たいこうせいがんけんないはんしょう)は、加齢に伴って眼板が眼球側にひっくり返った状態を指す疾患です。この状態は、まぶたを牽引する筋肉の弛緩、眼瞼を指示する組織の弛緩などが原因で発症します。特に下まぶたに多く見られ、70歳以上の高齢者に多い傾向があります。

患者さんは、まつ毛が眼球を刺激することによる異物感や痛み、充血、流涙といった症状を訴えます。また、長期間放置すると角膜びらんや角膜潰瘍を引き起こす可能性があり、重症化すると視力低下の原因となることもあります。

眼瞼内反症はまぶたの緩みによって起こる

治療は?

自覚症状が軽ければ、保存的治療により経過観察することが可能です。人工涙液による角膜の保護、睫毛抜去による一時的な対症療法などが行われます。しかし、これらの治療では根本的な解決にはならず、多くの場合、手術治療が必要となります。

どの時期に手術すればよいのでしょうか?

手術のタイミングについては、角膜への影響や日常生活への支障の程度を考慮して決定されます。特に、角膜びらんや潰瘍を伴う場合は、早期の手術が推奨されます。1ヶ月に1回以上睫毛抜去が必要な場合にも、通院の手間や睫毛抜去時の苦痛を考慮して手術を勧めることが多いです。

手術内容は?

手術は通常、局所麻酔下で行われます。主な術式としては、睫毛下の皮膚を切開して下眼瞼牽引筋を短縮する方法(Jones変法)があり、これにより縦方向の緩みを減らすことができます。横方向の緩みが強い場合には、眼輪筋を短縮する方法(Wheeler変法)や目尻を切開して瞼板を短縮する方法(lateral tarsal strip)を併せて行います。これらの術式を適切に組み合わせることにより、再発率を数%未満に抑えることができます。手術時間は通常30分〜45分です。

糸を通すことにより短時間で終了する術式もありますが、手術回数が少なくて済むことを優先し、再発率の低い術式を提案しています。

術後の経過は?

術後は、1週間程度でまぶたの腫れや内出血が落ち着いてきます。抜糸は術後5~7日目に行われます。手術の成功率は比較的高く、90%以上の症例で症状の改善が見られます。

術翌日には、まぶたの腫れや内出血が見られますが、これらは徐々に改善します。腫れは1週間程度で落ち着き始め、3〜6ヶ月程度で最終的な仕上がりに近づいていきます。抜糸は通常、術後5日〜2週間の時点で行います。術中の定量より大きな誤差が見られる場合には、抜糸の時点で修正を行うこともあります。

洗顔や洗髪、入浴は手術の翌日より行っていただけます。石鹸やシャンプーを泡立ててやさしく創部を洗浄するようにしてください。

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