文字サイズ

標準

特大

背景色

文字サイズ

標準

特大

背景色

公式SNS

施設紹介

眼科疾患・手術

眼瞼・眼窩・涙道疾患

兎眼症

> もどる

兎眼とはどんな病気?

兎眼は、まぶたが完全に閉じることができない状態を指す病気です。名前の由来は、うさぎが寝ているときでも目を完全には閉じないことから来ています。主な原因は顔面神経麻痺で、これにより目を閉じる筋肉(眼輪筋)の機能が低下することで発症します。他にも、事故や手術による瘢痕、甲状腺眼症、まぶたの手術後など、様々な原因で起こることがあります。まぶたが閉じられないことにより、角膜が乾燥して炎症を起こしたり(兎眼角膜炎)、充血や異物感、痛みなどの症状が出現したりします。また、就寝時にも目が完全に閉じないため、目の乾燥が進んで重症化することがあります。

左側の顔面神経麻痺

治療は?

治療は原因によって異なります。顔面神経麻痺が原因の場合は、まず原疾患の治療を行います。急性期には点眼薬や人工涙液で角膜を保護し、就寝時には眼軟膏を使用して保湿したり、テープでまぶたを閉じたりして保護します。保存的治療で改善が見られない場合や、まぶたの変形が原因の場合には手術治療を検討します。

どの時期に手術すればよいのでしょうか?

手術のタイミングは、症状の程度や原因によって判断します。顔面神経麻痺の場合、発症から6ヶ月〜1年程度経過しても改善が見られない場合に手術を検討します。また、角膜の乾燥が強く、点眼薬や保湿剤による保存的治療では十分な効果が得られない場合や、就寝時の目の乾燥が著しい場合にも手術を考慮します。

手術内容は?

手術方法は症状の程度や原因によって選択されます。上まぶたが原因であれば、まぶたの外側を縫い縮める方法(外側瞼板縫合術)、上眼瞼を挙上する筋肉を弱める方法(上眼瞼挙筋延長術)があります。下まぶたが原因であれば、まぶたの横方向を短縮したり(Kuhnt-Szymanowski法)、下まぶたの支えとなるように耳の軟骨を移植(下眼瞼延長術)したりします。手術は通常、局所麻酔で行われ、日帰りで実施可能です。

術後の経過は?

手術直後はまぶたの腫れや内出血が見られますが、これらは徐々に改善していきます。腫れは1週間程度で落ち着き始め、1〜2ヶ月程度で最終的な状態となります。術後は感染予防のための点眼薬の使用や、必要に応じて人工涙液や軟膏での保湿を続けます。まぶたの閉じ具合が不十分な場合は、状況に応じて追加手術を検討することもあります。日常生活は術後数日で徐々に再開できますが、まぶたの保護や清潔保持には十分な注意が必要です。

> もどる