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霰粒腫

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霰粒腫とはどんな病気?

霰粒腫(せんりゅうしゅ)は、まぶたの裏側にある脂を分泌するマイボーム腺の出口が詰まることで発生する腫れで、一般的に「めいぼ」とも呼ばれています。マイボーム腺から分泌される油分の性状が変化して粘稠度が増すことで腺が詰まり、その結果として腺内に分泌物が貯留して炎症が起きます。その結果、まぶたに硬いしこりができます。似たような症状の麦粒腫(ものもらい)とは異なり、霰粒腫は細菌感染を伴わないため、通常は痛みを感じません。

この状態は、多くの場合マイボーム腺機能不全(MGD)という基礎疾患が関連しています。また、慢性的なまぶたの炎症や皮脂の分泌異常、加齢による腺機能の低下なども、マイボーム腺の閉塞を引き起こす要因となります。まぶたのケアが不十分な場合や、過度の眼の使用による疲労も、症状を悪化させる可能性があります。

霰粒腫はまぶたの脂腺 (マイボーム腺、ツァイス腺)に発生する

瞼板内にとどまるもの

皮膚側に漏れ出たもの

結膜側に漏れ出たもの

治療は?

霰粒腫の多くは、特別な治療をしなくても2〜24週間程度で自然に治癒します。しかし、改善を促進するため、以下のような保存的治療が行われます。まず、専用の製品や蒸しタオルで温罨法を1日1〜2回、10分程度行います。これにより、炎症物質の吸収が促されます。また、抗菌薬やステロイド入りの目薬や軟膏を使用することもあります。

保存的治療で改善が見られない場合や、腫瘤が大きい場合は、副腎皮質ステロイド薬の局所注射や手術による摘出が検討されます。特に、視界を妨げる、違和感が強い、見た目が気になるなどの症状がある場合は、手術を選択することが多くなります。

どの時期に手術すればよいのでしょうか?

霰粒腫の手術は、保存的治療(温罨法やマッサージなど)を3〜4週間行っても改善が見られない場合に検討します。具体的には、保存的治療で改善が見られず腫瘤が持続している場合や、腫瘤が大きく見た目や機能面で問題がある場合に手術が推奨されます。また、同じ部位に繰り返し発症する場合、悪性腫瘍が疑われる場合にも、手術による治療を考慮します。

手術内容は?

手術は局所麻酔で行われ、10分程度で終了します。手術方法には、まぶたの表側から切開する方法と、まぶたの裏側から切開する方法があります。腫瘤の位置や大きさによって、最適な方法を選択します。まぶたの裏側からのアプローチは、外見上の傷跡が残りにくい利点がありますが、皮下の浅い部分の肉芽には表側からのアプローチが必要となることもあります。

手術では、まず局所麻酔を行い、小さな切開を加えます。その後、拡張したマイボーム腺内に貯留した肉芽を丁寧に掻爬(そうは)して除去します。悪性腫瘍との鑑別が必要な場合には、病理検査にも提出します。手術終了後は、点眼および抗菌薬の軟膏を塗布して終了します。

術後の経過は?

手術直後は、麻酔の効果で1時間程度は違和感を感じにくいですが、その後、軽度の痛みや違和感が出現することがあり、必要に応じて鎮痛薬を内服していただいています。また、まぶたの腫れや内出血が生じることがありますが、これらは通常1〜2週間程度で自然に改善します。

術後は、洗顔や洗髪、入浴は手術の翌日より行っていただけます。石鹸やシャンプーを泡立ててやさしく創部を洗浄するようにしてください。

コンタクトレンズの使用は2週間程度控えめにすることをお勧めしています。また、再発予防のため、まぶたのケア(温罨法やマッサージ)を継続することが大切です。傷跡に関しては、まぶたの裏側からの手術であれば外見上はほとんど目立ちません。まれに再発することもありますが、適切なケアを続けることで予防が可能です。

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